レポート | 日帰り
ひと気が無い。駐車場には、ワゴン車が1台こっきりあるだけだった。実はここに来る直前、すぐ隣にある湯滝で有名な峯雲閣に行ったのだが、受付時間終了の13:00前であるにも係わらず、外来入浴は終わってしまっていたのである。平日で人出が少ないからなのだろうか。正直ここもやっているか不安だったのだが、幸いなことにここは営業していた。
受付で入場料を払い、中へ入った。ロープウエイ乗り場みたいな作りの入り口で、安っぽい観光地のようである。私たちが歩いてまだ受付から遠くないところで、受付のおっちゃんが怒鳴りながら慌てて飛び出してきた。自分らを追いかけてくるのだ。「ほら!ほら!」すごい剣幕でわめき立てている。いったい俺が何をしたっていうんだ? 何かとんでもないことをしでかしてしまったのか? 小心者の自分は身をすくめた。連れには言ってないのだが、実は本気でびびっちまって、泣きそうな位だったのだ。いや、マジで。「ほら!吹いてる!」おっちゃんは叫んだ。自分らより前方を指さしている。見ると、間欠泉がちょうど吹き上がり始めたようで、白い湯煙が空に向かって一直線に舞い上がっていた。どうやらおっちゃんは、このことを伝えたかったらしい。ああ、人のいいおっちゃんだったのね。でも、ぶち切れしたように捲し立てなくても…。
間欠泉は20分間隔で吹き上げるそうだ。間近で間欠泉を見学した後、そのすぐ下にある露天風呂に向かった。多分駐車場にあったワゴン車の人だろう、自分らと行き違う時に「良いお湯ですよ。今、誰もいないよ。」と教えてくれた。
大きな湯船である。しかし、湯船に阻まれて脱衣所に向かう道が無い。仕方ないので、湯船の縁を歩いて向こう側へ渡った。湯船の縁はそれ程狭くはないが、一歩踏み外せば湯船に落ちるか川に落ちるかどちらかである。赤い三角屋根の小屋が脱衣所だ。男女は別れていないし、入り口の扉もない。湯船の縁は狭くて全然余裕がないため、掛け湯ができない。変な作りである。直前に轟温泉で入浴してあったので、まあいいかと服を脱いでそのままお湯に入った。お湯はかなり熱い。はっきり言って私は熱いお湯は苦手である。お湯に浸けた足がじんじん痺れた。
脱衣所から出てすぐの箇所は葦簀で囲われている。お湯の中を歩いて葦簀の外へ出ると、広々した景色が開けた。気合い一発、熱いお湯に身体を沈める。ちりちりと湯が身体にしみる。う〜、熱い。あまり長く浸かっていられなかった。広々した湯船で開放感もあるし、もうちょっとぬるければ最高なのに。しかし、ネットで見かけた他の方のレポートによると、ぬるいと書いてあったので、もしかして季節などによって温度が違うのかもしれない。
今ふと思ったのだが、脱衣所はもしかして女性専用なのかもしれない。葦簀で囲われた部分は女性用なのかも。そう考えると、この変な作りの理屈があうような気がする。だとしたら、男はいったいどこで着替えればよかったんだろう。でも確かそんなことはどこにも書いてなかったよなぁ。
※入浴できなくなったそうです。