レポート | 宿泊
三斗小屋温泉は栃木県と福島県の境目辺り、那須岳の山中にある歩いてしか行けない温泉。なぜこんな場所に宿があるかというと、会津中街道が通っており昔は旅人が行き交うそれなりの街道だったから。
ちなみに一口で那須岳と言っても、那須岳という山頂は無い。茶臼岳や朝日岳などのいくつかのピークを総称して那須岳と言う。
【峰の茶屋からのルート】
三斗小屋温泉までは峰の茶屋から延命水を経由して行くルートが一番近い。ロープウェイを利用しても峠の茶屋から歩いても所要時間は殆ど変わらないし、体力的にもさほど違いはないので、ロープウェイ料金をかけるより峠の茶屋から歩く方が良い。
年によって違うが4月のこの時季は山中にまだ雪がたっぷり残る。ベストシーズンを外すことが当たり前のように癖になった自分はわざわざこの時季を選んだが、一般には6月〜10月くらいまでを目安とした方が良いだろう。煙草屋旅館の営業は4月19日から始まったばかりだ。
体力の無い自分でも物足りなく感じる程度なので、コースとしての厳しさは少なく容易な方である。もしこのコースで息が上がるようだったら、普段の生活を見直す必要があるんじゃないかな。
出発当日の天候は雨。加えて強風のためロープウェイは運休。結果的に茶臼と朝日もやっつけとこうという目論みはご破算にしたが、三斗小屋温泉へは諦められず強行した。峰の茶屋付近は風の通り道で人間を軽く吹き飛ばすほどの強風が吹くこともあるというから、真似してはダメです。
雪に足を潜らせながら2時間半かけて三斗小屋温泉に到着。なんと泊りはうちらだけ。この天候じゃあなと思ったら、予約そのものが他に無いとのこと。穴シーズンだ。但し翌週から始まるGWは既に満室だそう。
【混浴の共同浴場】
煙草屋旅館には内風呂と露天風呂があり、どちらも混浴。内風呂には混浴の共同浴場と女性専用内湯がある。共同浴場は板張りの浴室で、古い情緒が残る。源泉が注がれる場所とさらにふたつに仕切られていて、温度の違いを楽しめる。今は時期的に湯温が下がりやすいためか、銀マットで蓋をされているのでそれをめくって入浴。なにせ完全貸切だからのんびり楽しむことができた。
【混浴露天風呂】
夕食後に露天風呂へ。露天風呂は宿より一段高い丘に造られている。脱衣所は小屋になっているが、男女は分かれていない。湯船は思っていたより大きかった。暮れ行く山の景色を眺めながらの入浴となるところだが、雨がまだ降り続いており展望は開けず、満天の星も見ることはできなかった。
午後9時就寝、翌朝再び露天風呂へ向かう。雨は断続的に降り続き、正面に望むはずの大倉山も中腹から上はガスの中。それでも開放的な絶景を堪能し、貸切ということもあって十二分に満喫できた。悪天を突いてまではるばる来た甲斐があったというものだ。