レポート | 宿泊
赤湯温泉は、苗場スキー場の奥、赤湯山の裾にある温泉。山口館は秘湯を守る会の会員宿ではあるが、辿り着くには徒歩で2時間前後を要する山岳温泉だ。徒歩と言っても、奥鬼怒温泉郷のような散策気分ではなく、完全に登山の世界。
【赤湯温泉へのルート】
車で侵入できるのは、苗場スキー場横から入る林道の奥、登山届け提出ポストのあるゲートまで。登山地図で確認すると、徒歩区間は行きも帰りも同じくほぼ2時間のコースタイムとなっている。
赤湯温泉までの登山道は、峠を越えるまできつい登りが続く。やっと峠を越えると、今度は急斜面の下り。下りきれば赤湯温泉はすぐそこ。
峠には一箇所だけ携帯電話の通じる場所がある。但し、docomoだけだが。緊急連絡にはそこまで走るらしい。
ちなみに、登山道のすぐ横にスズメバチの巣が鎮座している箇所がある。手で触れる程の近さだが、付近をスズメバチが飛んでいる気配はなかった。スズメバチの巣は1年こっきりで再利用されることはないというから、既に廃棄された巣なのか。いずれにせよ翌年には安全な筈だが、近くに新しい巣ができる可能性もあるので、用心するに越したことはない。
山口館は日帰り入浴もできるが、山の日暮れは早いため慌ただしくなってしまい、できれば日帰りよりも宿泊がオススメ。なにより、山の夜は本当に素晴らしい。山小屋は通常宿泊の予約が無くても泊まれるが、山口館の場合は予約しておいた方が無難。
【露天風呂】
山口館には、玉子の湯・薬師湯・青湯の三種類の湯舟がある。全て露天風呂で、内湯はない。一応、日中に限り玉子の湯と薬師湯は男湯として、青湯が女湯として使用することになっているそうだ。夜間は全て男女の区別はなくなる。
ちなみに外灯なんて一切ないので、月が出ていなければ夜は本当に真っ暗。ロウソクの行灯が用意されているが、それだけでは暗過ぎて足元が危ないので、懐中電灯かヘッドランプを用意しておく方がいい。まあ、登山という心構えで行くなら必ずヘッドランプくらい持っているだろうから、それを使う。
日中、夜、早朝、どの時間帯にも、自然を満喫できる至福の入浴体験が得られる。ごうごうと流れる川音のBGM、混じり気のないすがすがしい空気、山々の深い緑。当然のことテレビも無ければ遊技施設もない、でもそんなものは全く必要を感じない。この自然そのものが、お仕着せじゃない最高の遊び場だ。
【食事】
「うちは山小屋じゃなくて温泉宿だから」と山口館のご主人が言っておられたように、施設は大きさは別として有名な人気山域の山小屋に準ずる立派さ。とは言っても、下界の旅館と比べることは間違いなので、念のため。食事はキノコと山菜が主体で肉類はないが、食べごたえは充分。
母屋の食堂で宿泊客全員が揃い、宿のご主人が懐かしい新潟弁で語る話を聞きながら、和気あいあいと食事は進む。
【余談】
赤湯温泉は苗場山などを巡る登山ベースにもなり得る。苗場山頂に広がる湿原は、まるで神々の楽園のよう。但し、赤湯温泉から苗場山頂までは6時間以上、日帰りは到底無理。逆に苗場山頂から赤湯温泉へのコースタイムは4時間ほどなので、苗場山頂を絡めるならば、かぐらみつまたから出発して遊仙閣という山小屋で一泊(要予約)、苗場山から赤湯温泉へ下り山口館で一泊、計二泊の縦走コースがいいと思う。
また、苗場を超えた山向こうには秋山郷があるので、赤湯温泉から苗場越えして秋山郷へ下るルートも面白いかもしれない。ちなみに昔の話だが、登山好きの皇太子様も苗場山登山の際、この山口館に一泊されたそうだ。
利用登山口P:赤湯林道口::554 510 349*85
※混浴時間が20時から夜明けまでに変更されました。日中は男女入替えとなります。