レポート | 宿泊
標高2,150mに存在する日本最高所の野天風呂を標榜する本沢温泉。本沢温泉には内湯も存在するが、混浴の野天風呂に対して内湯の「こけももの湯」は男女別となっている。しかし館内に造られたこの内湯、おそらく源泉の場所から多少離れているからなのか、標高が高く冷え込みが半端ない冬期にはぬるくなり過ぎて入れないのだろう。冬には閉鎖となる館内の内湯の代わりに、本館から少し離れた場所にある湯小屋「石楠花風呂」が冬期だけ開設される。
この「石楠花風呂」の浴室はひとつしかなく、時間によって男女交代、そしてフリーの時間が設けられている。つまり冬期にしか入れない混浴。前回本沢温泉に来たのも冬期だったから、今度は季節を変えて来る方が違った表情が見れるのだけど、前回は野天風呂にしか入らなかったので心残りであった「石楠花風呂」に入る為、再び冬に本沢温泉を目指すことにした。野天風呂のレポートはこちらを参照→
【稲子湯からのルート】
2012-2013年の冬は雪が多かった。そもそも厳冬期には車で本沢入口まで行けない可能性が高い為、稲子湯近くの林道入口からゲートまで雪上車での迎えがあるのだが、今シーズンは積雪で林道が通行不可。
でもまあ前回と同じコースを辿るのも芸がないしつまらないから、みどり池経由のコースから行くことにした。冬の定番コースで初心者向きなので厳冬期未経験のツレにとっても安心だし、時間はかかるが林道コースよりは面白味がある。
【本沢温泉の部屋】
「石楠花風呂」には日帰りでも入浴できるが、今回は硫黄岳に登る事も考えていたので一泊。本沢温泉に到着して割り当てられた部屋に荷物を下ろす。
本沢温泉は個室でも他の山小屋の大部屋料金とさほど変わらないので個室を頼んだが、自分らの他はもう一組しかいなくてそちらも個室利用だったので、別に大部屋でも個室みたいなものだった。でも広い大部屋に二人きりだと寒々したかもしれないが。
宿泊に関してひとつ言うなら、寒さを凌ぐことは難しくない。がしかし、冬という特殊環境によるトイレの状態が……泊まるのなら普通に夏期シーズンがいいと思う。
【混浴内湯-石南花風呂】
荷物を置いて早速向かったのが「石楠花風呂」。フリーの時間が終わりに近かったのでとりもなおさずといった感じ。館を出て少し下った場所に湯小屋がある。いちいち登山靴を履き直すのは面倒くさいので、玄関に並べてあった長靴をお借りする。
湯小屋の脱衣所はふたり同時に着替えるときつきつ。天井や時計をびっしりと覆う霜が寒々しい。脱衣所から扉を開けると板で蓋をされた湯槽がふたつ並ぶ浴室。浴室の端っこの床は凍ってるし、浴室の中でありながら天井や壁は霜で覆われているのが、いかにも気温の低さを物語っている。
ふたつ並ぶ湯槽の脱衣所側は温度がかなり熱く、とても浸かれないほど。奥の湯槽が適温。しかし湯槽ひとつは狭く、二人も浸かればいっぱいで肌触れ合うこと必至。片方の湯槽が熱過ぎて入れないとなると、同時に入れる人数はたかがしれているし、混浴となれば女性にとってはかなりきつい環境。客が多ければ上手に譲り合って入るしかない。幸いこの日の宿泊者は自分らの他は男だけのグループが一組だったので、夜には決められた時間配分に関係なく譲り合うことができた。
「石楠花風呂」の源泉は野天風呂とは別。「こけももの湯」と同じナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素温泉となっているから、「こけももの湯」の源泉付近に湯小屋を建てたのだと思う。野天風呂は白濁した湯だが、内湯は茶褐色。成分も濃そうに感じる。湯の温度は野天風呂とは雲泥の差で、外気が涼しいと思えるほどぽかぽかに温まる。
【野天風呂は大雪のため入浴不可能】
野天風呂にも行きたかったが、今年は雪が多くて踏み跡も無くなったとのこと。看板も埋まってどこから行くのかさえわからない状態。無理無理と言われてしまった。
前回はわざわざ本沢温泉に来ときながら電池切れで満足する写真を撮れなかったし、天気も悪かったから、今回は硫黄岳が見える野天の写真を撮ろうとレンズの種類も色々持ってきたというのに、残念でならない。せっかく天気も良く空気も澄み渡っているというのに…。
利用登山口P:みどり池入口::359 422 565*61