レポート | 宿泊
家庭的な小さな宿から大規模なホテルまである四万温泉の中で、湯元四萬館は比較的大きめな宿ながら、宿泊料金は小さな宿並のかなり安い1万円未満からの設定となっている。しかも貸切を有料とする宿が多いところ、湯元四萬館では温泉プールを除く全ての貸切風呂が無料で財布に優しい。貸切風呂の数は全部で6箇所。さらに混浴の露天風呂が1箇所。露天風呂付きの客室は12室。
泊まったのは露天風呂付きの部屋。最も広い露天風呂の付いた「櫟」という客室は他より高めの料金設定だから選んで予約できるが、それ以外の露天風呂付き客室は部屋を指定する事はできない。食事は部屋食ではなく食事処での提供。嫌いな物の差し替えなどメニュー変更には対応していない。フロントには21時以降従業員はいなくなるそうだ。そういったコストダウンでリーズナブルな価格を実現しているらしい。フルサービスを望むお金持ちは他に行った方が良さそう。
【混浴露天風呂 文人の湯】
フロントがある2階の道路側玄関から雪駄を履いて外に出、左に回り込むと文人の湯がある。脱衣所は男女別にあり、湯槽は大きい。四万川をすぐ上から覗き込むようなロケーションで、野趣に富んだ露天風呂。湯は熱めで、うろうろしてたら火傷しそうなくらい熱い箇所があった。
到着後真っ先に行ったのだが、他に誰も来なかった。貸切風呂が多いため利用者は少ないのかもしれない。利用期間は7月〜9月、時間はチェックイン〜20時までと翌早朝〜8時半までとなっている。
【貸切風呂 河鹿の湯・野うさぎの湯・鹿の湯】
エレベーターで1階に下りると男女別大浴場があり、その横をすり抜けるように真っ直ぐ行くと卓球台のあるホールに出、その一角に貸切風呂が並んである。河鹿の湯、野うさぎの湯、鹿の湯は内湯と露天が備わった浴室で、こじんまりとした大きさもだいたい同じ。内装に変化を付けている程度だから、入浴したのは鹿の湯だけ。忙しなくなるのも嫌だったし、とても全部を入る時間はなかった。四万川を真上から覗くような感じの露天風呂だが、面白みという点では他に比べて薄い感じ。利用時間は翌朝8時まで。
【貸切風呂 おんせんにんぎょの湯】
河鹿・野うさぎ・鹿の並びの横に、おんせんにんぎょの湯がある。ここも鍵をかけて貸切で利用できる。部屋にあった館内図にはとんぼの湯と書いてあるが、アーティストが壁に人魚のアートを描いて名称が変わったようだ。浴室は大きく、そこそこ中規模旅館の大浴場と言っても差し支えない広さがある。露天風呂も付いているが、湯が熱過ぎて浸かれなかった。
入り口から入って真っ直ぐに扉があって、開けてみたら男性露天風呂だった。あちらから間違って入って来られないように、その扉の施錠も確認した方がいいかも。利用時季は6月中旬〜10月初旬まで。
【貸切風呂 そよかぜの湯】
大浴場から卓球台のあるホールとは逆方向に廊下を進むと、そよかぜの湯がある。木の樽を湯槽にした半露天風呂のような内湯。気のぬくもりを感じられるレトロな意匠の浴室となっている。利用時間は翌朝8時まで。
【貸切風呂 風の谷】
そよかぜの湯を過ぎて廊下の突き当たりまで行くと風の谷。狭い脱衣所から階段をさらに下りると湯槽がある。窓が大きく開いた半露天風呂。河童の足湯を除いて恐らく四万川に一番近い浴室だろう。ここはツレが妙に気に入って、夜になって再び入りに来た。四万川がライトアップされて幻想的な夜景を堪能できる。利用時間は翌朝8時まで。
【白雲木の部屋風呂】
泊まった部屋は白雲木と名付けられた部屋。白木の樽を湯槽にした露天風呂が、四万川に面したベランダに備え付けられている。ベランダは窮屈ではないがさほど広くもなく、面白みも少なめだが、1万6千円弱という宿泊料を考えたらなかなかのもの。中居さんは四萬館の露天付き客室の中でこの部屋が一番人気だと言っていた。
夜には四万川のライトアップで雰囲気もアップ。しかし22時頃にはライトアップは終わってしまって、のんびりしてたら入る頃には真っ暗になってしまっていた。
【河童の足湯】
河童の足湯は四万川の中と言っていい、ちょっと増水したら沈んでしまう所に湯槽が造られている。最も野趣溢れる露天風呂、いや足湯だ。
部屋にある館内図には河童の湯となっていて混浴のままの記載だったが、これは恐らく古い。四萬館のサイトには河童の足湯となっているから今は足湯に変わったのだろう。しかしどこにも足湯との表示はなく、館内図だけ見て混浴と思って入浴する人もいるかもしれないし、ちょっと不親切かと思う。
河童の足湯へは温泉プールの横をすり抜けて四万川への階段を下りて行くのだが、どこにも案内はなく、まるで無いものにされているような印象だった。利用は夏季のみの夕方まで。当然のこと四万川の増水時には利用できない。