レポート | 日帰り
箒川沿いに展開する塩原温泉郷の主要温泉街から離れて、独特の雰囲気を持つ新湯温泉。国道400号を折れて日塩もみじラインを少し進むと、それまでに無かった硫黄の匂いがぷんぷん香ってくる。
新湯温泉はいかにも硫化水素型硫黄泉らしい白濁の湯が特徴。奥塩原高原ホテルは新湯温泉の入口にあり、ペンションみたいな瀟洒な建物が目立つ。
奥塩原高原ホテルには貸切露天風呂が三つ。こういったホテルにありがちな、貸切風呂は温泉を使っていないなんてこともなく、源泉が贅沢に掛け流しされている。但し、三つある貸切露天風呂のうち「りんどう」だけはどうやらそうではないようなので注意。
ホテルの外観から受ける印象では若い人向きに感じるが、中に入ってみれば意外に落ち着いた雰囲気で、大浴場も板張りのシックな造り。ぷんぷんと香っている硫黄の匂いのせいもあるだろうが、温泉に来たという実感は充分に感じられる。
貸切露天風呂の日帰り入浴料は二名で2,500円。大浴場だけの入浴料は一人800円だが、貸切は入浴料込み二人分でこの値段だから、40分という制約が付くものの日帰り貸切としては高くない方だろう。
入浴したのは木枠の「やまゆり」。「きすげ」は益子焼でできた丸い浴槽で、「りんどう」は西洋陶器でできた浴槽というようにそれぞれ特徴がある。訪問時には他に入浴客が無く選び放題だったのだが、一番オーソドックスなものを選んでしまうのは我ながら小市民。
三つの貸切露天風呂はホテルから出て別棟に詰め込まれている。三つの浴室が並んで造られているから、ひとつひとつの広さに制約があるにしては、それぞれそこそこの広さが確保されている。湯船の大きさを欲張らず周りを広く取っているのも良い。ただ、各浴室を仕切る壁の背が高く張り出しているので、この辺に開放感を感じさせる工夫が欲しかったところ。
湯はかなり熱めで、湯かき棒がさりげなく置いてあったりする。湯が注がれる口には水を出すハンドルが付いていて、出てくる湯の温度を調節できるようになっていた。せっかくの源泉を薄めるのも気が引けたが、薄めないと熱くて入れない。
貸切を利用する時にはいつも感じるのだが、混浴だと30分くらいで切り上げるくせに、貸切の40分制限は短く感じてしまう。誰も入ってこないという気安さから、気兼ねなくのんびり寛いでしまうからだろう。せめて60分、できれば90分くらいあればなぁと思う。