レポート | 日帰り
中尾地区とロープウェイ方面の分岐に新穂高の湯がある。その上流に位置するのが槍見館。2000年の改修以後、男女別露天風呂の他に四つの貸切露天風呂とひとつの混浴露天風呂を持つ、古い民家調の宿に生まれ変わった。旧庄屋の屋敷を移築したという建物は、郷愁を感じさせるものだ。
【混浴露天風呂】
槍見館に昔あった混浴の露天風呂は現在では男性用露天風呂となっており、新しい混浴露天風呂はさらに蒲田川寄りに新設されている。槍見の名前通り、槍ヶ岳を眺めながら入れる露天風呂だ。蒲田川を見下ろす位置にある湯船は、開放感ある展望が開けている。しかし訪問したこの日は男性露天風呂が工事中のため混浴が男性用に転用されており、さらにはお湯も抜いた直後だったために入浴はできなかった。
【四つの貸切露天風呂】
貸切露天風呂は四つある。蒲田川に一番近い位置にありジャグジー付きの「渓流の湯」。展望は開けないが一番大きい「岩見の湯」。ぶらんこや打たせ湯が付いて子供が喜びそうな「森の湯」。釜がみっつ並んで湯船になっている変わり風呂「薩摩の湯」。貸切利用料は特になく、入浴料だけで全ての貸切に入ることができる。
その他に離れ専用の露天風呂もあるが、こちらは離れの宿泊者のみの利用となる。男女別・混浴・貸切露天風呂はそれぞれ離れており、脱衣所もそれぞれ用意されているので、裸で湯巡りという訳にはいかない。いちいち着替え直さなければならないので、全ての風呂を制覇するのはちょっと面倒くさい。
【貸切巡り】
この日は「渓流の湯」が工事中だったため、まず入ったのが「岩見の湯」。低い屋根のせいで洞窟の中にいるように薄暗く、景色もあまり見えない。しかし貸切の中ではここが一番大きい湯船だ。
次の「森の湯」は、一応露天風呂だが小屋の壁の一辺が開いているだけで、その開いている方角も山の斜面側なので殆ど内湯のようなもの。その代わりぶらんこが付いていたりして、遊び心のある造りになっている。子供連れなら、ここが一番喜ばれそうだ。
最後の「薩摩の湯」は、ひとりが入れるだけの釜の湯船がみっつ並んでいる変わり風呂だ。貸切で蒲田川に面しているのは「渓流の湯」と「薩摩の湯」のふたつだけ。釜に注がれる湯はかなり熱めで、浸かるのがきつい。唯一、一番川寄りの釜だけが入れる温度だったので、無理矢理二人で入ったら足がつりそうになった。
ところで、男女別だが木の香り溢れる内湯もなかなかの風情だ。大きな窓から槍を眺めながら、二種類の源泉を楽しむことができる。これら全ての風呂を巡るのに、日帰りで慌ただしく動き回るのは疲れる。やはり、宿泊してのんびり風呂三昧というのが一番かも。