新穂高温泉 北ア西穂屋

「北ア西穂屋」のレポート ｜ 日帰り

最初、ここが見つからなくて、中尾高原に至る中尾高原口と新穂高ロープウエイの間を二度ほど往復してしまった。よくよく探せば、中尾高原口のすぐ横にあるではないか。ちょうど新穂高の湯へ渡る橋の正面である。ちょっと奥まった位置にあるのと、手前にある建物が邪魔になって道路から見え難くなっていたのだ。

北ア西穂屋の建物はスキー場にある山小屋風ペンションといった雰囲気。出てきたおばさんはとても愛想が良く、その対応だけで気分が良くなった。スキーや登山のベースとして是非とも利用したい。

【露天風呂】

北ア西穂屋の露天風呂は一見してどこにあるのかわからない。旅館に対して道路の向かい、蒲田川に半分下りた所に小さめの湯舟があるのだが、そこにあると教えてもらわなければ誰も気づかないだろう。露天風呂付近にトイレはないので、先に館内で済ませておいた方がいい。

露天風呂は貸切になっている。露天の手前に、ぼろぼろのどこでもドアかと思うような扉が唐突にある。預かった鍵で南京錠を外して扉を開けるのだが、風雨に晒されているせいか南京錠は閉まらなくなっていて役に立っていなかった。扉自体もかなりがたが来ている。

扉を過ぎると脱衣所があり、その奥に湯舟。脱衣所は小屋というほどの物ではないが屋根があり、きちんと道路などからはみえないようになっている。脱衣スペースは狭いが、湯舟そのものも多くて三人が限度かなという広さなので、これで充分だろう。

湯舟は崖にへばりつくような感じで、蒲田川より少し高い位置にある。ちょうど新穂高の湯の対岸にあり、こちらから新穂高の湯がよく見える。前述したように湯舟は大きくない。この大きさなので、湯も熱過ぎて水で埋めなければ入れた物じゃない。

景色も崖の中腹のせいであまり開けているとは言えない。葉っぱも浮いていて、お世辞にも手入れが行き届いているようには見えない。しかし、なんというか、作り込まれた風呂と違って、自然の中にいるという実感が味わえ、妙な充足感がある。この感覚は、野湯と同じものだ。特徴だけ上げるとしょぼい露天風呂のように聞こえてしまうが、実際入ってみれば意外にも高い満足感を得られる露天風呂であった。