レポート | 日帰り
八ッ場ダムで揺れた吾妻渓谷のさらに上流、山間に不揃いな耕作地が広がる農村に、半出来温泉がある。ちょうど国道145号の草津への分岐と万座ハイウェイの分岐の中間くらい。登喜和荘は半出来温泉の一軒宿で、今や減りつつある混浴がまだ健在の民宿。
半出来とは面白い名前だが、登喜和荘のあるこのあたりの土地が痩せていて充分な作物の収穫が得られなかった事から、半出来という地区名となったそう。
前回に来たのは2001年だったから、17年ぶりと思うとなかなか感慨深い。玄関前が狭くなったような気がするが、基本的に大きく変わったところは無さそうに思う。
【日帰り入浴】
日帰り入浴の受付時間は8:00〜20:00までと、結構長め。料金は400円で、おそらく昔と同じか、または上がったとしても100円程度だろう。
以前は時間制限はなかったと思うのだが、90分以内という時間を言い渡された。といっても、特別な目的でもなければ普通90分もあれば充分だろうと思う。
【男女別内湯】
半出来温泉の内湯は男女別となっている。質素そのものの浴室で、まるで共同湯のような雰囲気。近頃は貸切に行く事が殆どだから小奇麗なところが多くて、こういった共同浴場っぽい風呂は久しぶり。ものすごく落ち着く感じ。
この男女それぞれの内湯から外に出て、庭の先に混浴の露天風呂がある。
【混浴露天風呂】
内湯を出てから露天風呂まではちょっと距離があり、開放的なお天道さまの下を裸で移動する事になる。女性側からは駐車場に停めた車が見えたらしいので、ツレは男女逆の方がいいんじゃないかと言っていた。
露天風呂は昔とほぼ変わっていなかったが、樽風呂が無くなっていた。半出来温泉のwebサイトを見ると、農家で使っていた味噌樽を再利用したものだそうで、痛むとなかなか代わりがないそうだ。新たに味噌樽が出てくればまた復活するかもしれない。
湯はぬるめで、4月のこの時期はちょっと寒い。新しい湯が流れ込んでいる小さい方の湯船が多少温度が高かったので、だいたいそちらにばかり浸かっていた。本当は広い方にのびのび入っていたかったが、もうちょっと季節が暖かくなってからがベストシーズンだったかも。
露天風呂からは、吾妻川にかかる吊橋が見えている。吾妻線の袋倉駅から歩いて半出来温泉に来る場合にこの吊橋を渡るそうで、つまりは吊橋を渡ってくる人がいるかもしれないということ。おそらく吊橋からこの露天風呂は丸見えだろうと思う。
だけども自分はこういった大雑把というかおおらかさが、混浴を好きになったひとつの大きな理由。絶対外から見せないぞと高い塀で囲んでしまったら、せせこましくてつまらなくなってしまう。半出来温泉がそんな愚を犯さないでいてくれて良かったと、湯に浸かり吾妻川を眺めながらしみじみ思う。
【女性用露天風呂】
昔は無かったような気がするが、女性内湯から露天風呂に向かう途中に、女性用露天風呂があった。
女性専用の露天風呂とはいえ、男性の視線から完璧に隠れるようにはできてないし、女性露天からもしっかり吊橋は見えている。湯船も小さい。
男性と一緒の湯船に入らずに済む事が唯一のメリットのように思えるので、混浴露天が男性でいっぱいな時の避難所くらいな使われ方なんじゃないだろうか。