レポート | 日帰り
秋田県の南端、宮城県との県境近く栗駒山系の山中に、川に源泉が流れ込みそのまま入浴できるという、大湯温泉の一軒宿、阿部旅館がある。
この近辺には泥湯温泉や川原毛大湯滝、宮城側には湯浜温泉や湯ノ倉温泉もあることからわかるように、源泉があちこちから湧いている地域であり、混浴も多く集まっている嬉しい地域でもある。深く切り立った小安峽では激しく噴出する蒸気を間近に見学できる大噴湯もある。
【風呂の種類】
阿部旅館には男女別内湯の今昔風呂、男女別の露天風呂がある。混浴なのは6月〜9月の増水していない時にしか入浴できない天然川風呂だけ。訪問時期を選ばないと混浴できないことになる。2006年の川風呂開始は6月下旬よりとのこと。
しかし訪問したのは6月上旬。ただ、ちゃきちゃき闊達そうな阿部旅館の女将の話によると、入っちゃうお客さんもいるとのことで、寒くても我慢すれば入れないことはないようだ。
本館から湯小屋への通路を降りて行くと、まずは男女別の入口に突き当たる。ここで別れてそれぞれの脱衣所から始まり、男女別内湯、男女別露天風呂を経由して、天然川風呂へ至ることができる。男女別内湯は、壁こそ男女仕切られているが、湯舟自体はひとつに繋がっている。
【混浴の川風呂】
男性露天風呂から天然川風呂に降りて行くと、源泉を溜めた槽があるが、これは湯舟ではない。源泉温度は98度あり、間違って足を突っ込もうものなら確実に火傷する。この源泉槽から川に流れ込む小さな流れができているが、ここも間違って踏みつけると火傷するくらい熱い。
流れ込む先に石で囲った湯舟ができており、ここならこの季節でも入れそうな温度はあった。川そのものはまだ冷たくて、入ったとしても入浴という感じにはとてもならない。
川は男女の露天風呂を回り込むようにカーブを描いており、男性側から女性露天風呂側はまったく見えない。当然、女性露天風呂から降りてくる様子も確認する術がない。
ツレが女性側から川に降りると、男性露天風呂に入っている人が見えたそうだ。これで失敗したのだが、川そのものには入れる雰囲気じゃないし、男性の姿が見えるからそれ以上先に行くのははばかられたようで、そこで引き返してしまったそうだ。
こちらは川べりで待ってはいたのだが、女性側を覗き込むわけにもいかず、お互いの姿を確認できないまま痛恨の逢瀬失敗。ということで、満足度は低いものになってしまった。事前に充分な打ち合わせが必要だったようだ。