レポート | 日帰り
宇奈月から黒部峡谷鉄道で約1時間。鐘釣駅の近くの川原に野趣溢れる野天風呂がある。鐘釣温泉旅館が管理している露天風呂だが、日帰り入浴は無料で開放されている。川原には石を積み上げて作ったいくつかの湯船と、岩の裂け目の奥に溜まった湯をそのまま湯船にした洞窟岩風呂がひとつある。宿泊者専用となる16:00〜8:30の時間帯は、洞窟風呂を女性専用、川原の湯船を男性専用として使用するそうだ。
【トロッコ電車で鐘釣へ】
観光客が増えるととても入浴できる状況ではないことを前もってわかっていたので、朝一番のトロッコ電車で鐘釣温泉へ向かった。鐘釣駅で降りたのは自分らだけ。目論みは当たったようだ。帰りの時間を確認するために時刻表を見ると、だいたい30分に一本の間隔。しかし次に黒薙に寄る予定なので、黒薙に止まらず通過する便を除くとおよそ1時間に一本ほどの間隔となる。
【駅から川原の露天風呂へ】
駅から5分ほど歩くと鐘釣温泉旅館が現れる。基本は山小屋に近いようで、沸かし湯の内湯は一応あるが川原へ下りれない人のためで普段は使用することはないそうだ。なので泊まっても身体を洗うことはできない。身体を洗う場合は川原の露天風呂が石鹸もOKとなっている。その川原へは旅館からさらに5分ほど歩く。川原への下りは若干長めの階段なのだが、息を切らすほどでもない。
【川べりの露天風呂】
川の流れのすぐ横にある一番大きな湯船が目立っている。石を積み上げて固めただけで、底は川原の砂地そのままの素朴な湯船だ。黒部川が増水する度に流されて鐘釣温泉旅館のスタッフが総出で修復しているという、ありがたい湯船である。
がしかしぬる過ぎて入浴は断念。ぬるいといっても人肌よりは温かいから、好きな人は入れないこともないとは思う。夏であれば川原遊びと入浴の両方を楽しめて、野趣を思う存分に満喫できることだろう。
【洞窟岩風呂】
川原への階段を降りたすぐ左側にブルーシートで囲われた簡素な小屋があるが、中にはベンチがひとつ置かれておりここが脱衣所になっている。男女の区別はないから女性専用と考えていいだろう。
この小屋の横から岩の裂け目に潜り込むような階段が作られており、下りると下に湯が溜まっている。ここが洞窟状の岩風呂。日帰り時間が終わって宿泊者専用時間帯になると女性専用の湯船となる。
岩風呂の温度は入浴にちょうどいい。階段下の左側が洞窟状、湯船続きの右側は岩の裂け目から空を眺められる半洞窟風呂。
一応、川原の湯船のように周りから丸見えではないが、観光客ってのは遠慮がないからひっきりなしに覗きに来そう。タオル巻きで入ったとしても、急な階段の上り下りの時に下からタオルの奥まで覗かれてしまいそう。なので日帰りで心置きなく入浴を楽しむためには、水着を持って行くのが妥当な判断だろう。
【次の電車からの観光客】
30分ほどで川原を後にして鐘釣駅に戻ると、ちょうど電車が着いたのかアジア系の団体観光客がぞろぞろと旅館方面に向かうところだった。かなりの人数である。あぶねーあぶねー、危うく晒し者になるところだ。やっぱり一番の電車で来たのは正解だった。