レポート | 日帰り
和気清麻呂が流罪となっていたのが大隅国(鹿児島県)。和気湯の横には和気公が腰掛けたといわれる腰掛け石があり、和気公もこの和気湯に入ったであろうと言い伝えられているそうだ。
和気湯があるのは、妙見温泉のある国道223号沿いから奥に入った、犬飼滝のある天降川の支流。個人所有の温泉だが一般にも開放され、温泉好きに人気があった。明け透けな混浴だから地元の女性は入らないそうだが、わざわざ遠方からやって来る温泉好きな女性は臆さずチャレンジしていたようだ。
しかし2012年、河川の増水により浴槽横の土砂が流出し、湧出量が減少してしまったのだとか。妙見温泉観光協会のサイトには、入浴に適していない状況と書かれている。とはいえ滅多には行けない鹿児島まで来たのだから、とりあえず見るだけは見てみようと立ち寄ってみた。
【行き方】
カーナビに和気湯の場所を入力して案内させてみたのだが、一本ズレた県道470号沿いで案内を終了されてしまった。それもその筈で、和気湯へ行く道はカーナビの詳細地図が無い地域、道そのものが掲載されてなかった。しかし近いところまでは連れて行ってくれるので、横道へ入る分岐にある「和気湯」の看板を見落とさなければ、なんとか辿り着くことができる。
道は車1台ぎりぎりの幅。すれ違いは無理だし、かといって山道なんかにはあるような待避所も設けられていない。このまま行ってUターンできずに行き詰まるんじゃないかと不安になるが、和気湯手前に場違いに広い駐車場があったので余計な心配だった。
多少歩くことになるが、もうひとつの行き方は、県道470号にある犬飼滝展望台から行く方法。こちらなら、細い道で車の運転が不安な人でも大丈夫。
【やはり入浴は無理】
駐車場から川に向かって民家を過ぎるとすぐ、囲いが取り払われた和気湯があった。一見して汚く、入浴できる状態じゃないのはすぐわかる。
一応、人肌よりも高い温度の湯が溜まっているが、泥や落ち葉が堆積して深さが10cmほどしかなくなっている。ぽこぽこと泡が立ち上っているので、湯が湧いてはいるらしい。表面には油のような膜が張り、汚染された水辺にあるような黄色い泡が浮いている。2013年頃まではまだ無理して入浴していた人もいたようだが、こんな状態ではもう完全に入浴不可。
いつか湯が戻ってくれたらと期待してしまうが、おそらくはもう無理なんだろうな〜。