レポート | 日帰り
秩父盆地の横瀬川と荒川の出合いを見下ろす崖の上に「すいじん」がある。公式サイトの更新は2005年で止まってしまっているようだし、検索しても殆ど情報が引っかかってこないので、歴史など詳しいことはわからなかった。和銅鉱泉のすぐ隣にあるが、高篠鉱泉郷には含めないようだ。ただこの辺りは自家源泉の一軒宿ばかりが点在するので、おそらく「すいじん」も自家源泉だろうことは推察できる。
とにかく行ってみなけりゃ何もわからないと平日に電話をしてみたが、待てど一向に出る気配がない。そこで土日に電話しなおしてみると通じて、聞くと口ごもる感じで平日には日帰り入浴の営業をしていないとのこと。なんとなく土日も怪しい気配までしたが、その後に「すいじん」のクチコミをいただいて日帰り入浴可能であることは確信が持てた。なので日を改めて日曜日に都合をつけ、前日の土曜日に予約の電話を入れた。
【日帰り貸切料金】
行ってみて確認すると、日帰りは貸切のみで予約必要とのこと。料金は一人1,500円、二人合計で3,150円。消費税とも入湯税とも計算が合わないが、レジの入れ替えより3%を被ることを選んだとかなんだろうか。
平日の電話に誰も出なかった事からもしかして今は入浴だけの営業なのかとも思ったが、宿泊もやっているそうだ。パンフレットを見るとダンスフロアや大人数でバーベキューができるレストステージなんかもあり、夏休み時期などに団体客の利用があるのかもしれない。
【露天風呂エリア】
母屋から扇状に延びる建物の先に「そらっぺー風呂」と看板が掛かっている。扇状の部分がレストステージで、先っぽが風呂エリア。露天風呂は建物の向こう側、崖の際に作られている。
まずあるのが開放的な岩風呂だが、湯は張られていない。その左側に今回利用した貸切竹風呂があった。貸切竹風呂は岩風呂を挟んで向こう側にもうひとつあったが、そちらも湯は張られていない。おそらく予約があるときだけ湯を入れるのだと思う。
もうひとつ、底が石で縁が竹の屋根のある露天風呂があり、おそらく岩風呂とここが混浴、あるいはこちらだけ女性風呂として使用したと考えられる。日帰りでも宿泊でも利用者が多ければどれも使用するのだろうが、たとえ宿泊でも宿泊客が少なければ貸切風呂しか稼働しなそうではある。
「すいじん」の公式サイトには混浴露天風呂の表記が残っているが、今のご時世では団体以外で多くの宿泊客が泊まり合わせる事も少なそうなわけで、となるとこの混浴露天風呂を混浴として利用できる機会は、今となっては限りなく無いに近いかもしれないと思った。
【貸切露天風呂】
この日利用した竹風呂は、もうひとつの竹風呂より若干大きめの湯槽で、崖のぎりぎりにあるため景色も多少良い。崖の下には横瀬川がごうごうと流れているが、木の葉が邪魔だし遥か下なので湯槽に浸かった状態では見えない。
シャワーもあるが、壊れてて出ないそうだ。湯は43度に設定したということで熱いかなと思ったが、ちょっと熱め程度で熱すぎて入れないような事はなかった。
【貸切風呂以外も利用してみたかった】
今回内湯は見なかったので、通ったところのどこにも泉質などの掲示が無く、源泉温度が何度なのか確認できなかった。付近は鉱泉ばかりなので、おそらくここも温度が低い鉱泉を沸かしているのだとは思う。いちいち沸かす必要があるとすれば、他の湯槽が空だったことも、日帰りは予約しか受け入れないということも合点がいく。
湯が張られていなかった大きい露天風呂も利用してみたかったが、どこも経営の厳しい昨今、仕方ないのだろうなと思う。建物の老朽化も進んでいる感じで、横瀬川沿いに並ぶ他の温泉宿に比べても見劣りがしてしまい、営業を縮小せざるをえない厳しさも伝わるが、しかしせっかく面白そうな風呂があるのに利用できないのは残念で、もっと繁盛して欲しいと願うばかりだ。
※閉館したようです。