レポート
薩摩硫黄島の観光の目玉といえば、この東温泉。南国の島らしい海の景色を目の前に、エメラルドグリーンに輝く湯を湛える岸壁に穿たれた湯船。この絵になる光景を写真で見たら、興味を引かれない温泉好きもいないだろうと思われる。
自分も行ってみたいと何年も思い続けながらも、九州まででさえそうそう気軽には行けないのに加えて、そこからさらにフェリーでとなると、なかなか腰が上がらなかった。
今回も当初は硫黄島は予定に入れてなかったのだが、色々あって急遽行くことに決めた。何か背中を押される事でもなければ、もしかして結局このまま一生行くことは無かったのかもしれない。余談だが、出先で情報を集めるのにスマホは画面が狭く効率が悪いので、タブレットは超便利。
【港から徒歩30〜40分】
硫黄島港の辺りから東温泉までは、海沿いの最短距離を行って2kmちょっと、徒歩で30分から40分程度かかる。両脇を草が生い茂って陽が当たり難い道路なので、雨の後は乾き難く、自転車は滑りやすいので注意が必要。要所要所に標識がちゃんとあるので、迷うことはない。
【波が高いと危険】
東温泉は岸壁の波打ち際に湯船が造られている。写真は晴れ間の出た干潮時間のものなので海から離れているが、満潮時には湯船のすぐそばまで海が迫る。波が高ければ波が湯船を洗うので、そんな時に無理して入ると、波に身体を持って行かれてしまうそうだ。
もちろん干潮時間でも海が荒れれば湯船まで波が来る。海そのものがうねって盛り上がり、湯船に迫る光景は見るからに危険な雰囲気。宿の女将にも荒れてたら絶対入るなと厳重に注意された。
【三つの湯船】
大中小の湯船が岸壁に三つ並ぶ。仕切りも何もないワイルドな野天なので、もちろん混浴。手前の最も小さい湯船から順に湯が流れているようで、一番手前は熱くてとても入れなかった。砕けた波がたまに雨のように降り注ぐ状態の時は真ん中の湯船が適温だったが、干潮時の穏やかなときはちょっと熱く、一番奥が適温になっていた。
エメラルドグリーンで見た目が綺麗な湯だが、色の元は湯船の岩に張り付いている藻類。足の裏や腰掛けた尻に緑色がくっつくので、よく落として上がらないと下着が被害を受ける。
遮るものがないので良く晴れると直射日光がなかなかきつい。南国の陽射しだから、気をつけないととんでもない日焼けになってしまう。晴れた方が景色は絵になるが、入浴のことだけ考えれば曇りの方が圧倒的に快適だろう。5月でももうちょっと涼しい方がいいなと思ったから、真夏はちょっと入りたくない。
狭い島だから、独占できる機会は案外なかったので、入浴中の写真はほとんど撮れなかった。しかし景色はたくさん撮ったつもりだったのに、帰って見てみると全然枚数が少ない。あれ〜?とがっかりしたのだが、おそらく自分の目で見ることの方に夢中になって、手が動かなかったのだろうと思われる。