5年前の夏頃の話で、場所は福島県会津高原の某混浴共同風呂でのことでした。自分が入っているところ、後から70代の老夫婦と40代の娘が入ってきました。一家族が入ってきたわけですが、少々変わったことに、お婆さんである母親はバスタオルを巻いて身体を隠しているのに、娘の方は一糸纏わずの真裸で堂々としていまして、普通こういうのって逆だよなーと見てました。でもその娘、妙に人懐こく、自分にも何人かいた他の人達にも気軽に話しかけて、その明るさから混浴でも平気で真裸でいられるのだなとも思いました。でもそのくせ、でかいペットボトルのジュースを、自分の両親にも唯の一滴もくれることなく自分一人でラッパ飲みしていたのを記憶しています。
その共同風呂はそばには渓流が流れ、季節が夏とあって例外無く人畜の血を吸う刺し虻が沢山いました。皆さんもあれには悩ませられると思いますが、自分もその時は虻を追い払いながらの入浴です。そばで「イテッ!」と声がし、娘の父親が虻に刺されたみたく、丁度湯船から上がっているところを自分のオチンチンの先ッポを刺されたようだったのです。それを知った娘は、
「やらやだー、お父ちゃん、そんなところ刺されちゃったの!、薬付けないとダメね、今持ってくるから」
と。そして
「アッ!、そうだ!、薬付ける前に良いのがある!、バックから出してくるからね」
となにやら出してきました。
そのなにやらですが、最初は何だか良く分からなかったのですが、でもどっかで見た憶えがある物で。すぐ「ハッ!それは?」と思い出し、アウトドアショップなどで販売している、ポイズンリムーバーという昆虫の毒を吸い出す吸引器だったのです。なにやらがポイズンリムーバーだと分かり、「え?!、まさかそれで?!」と自分が思っているやいなや、娘は父親のそばに来て何の躊躇うことも無く、手際良く自分の指で虻に刺された父親のオチンチンを摘み、ポイズンリムーバーをその先ッポに被せてピュウピュウピュウと吸引を始めたのでした。
吸引を始めるまでの時間は短かったですが、その一部始終を見て笑う前にあっけにとられたのは言うまでもありませんでした。