十数年前のことで時効だと思うのでお話ししますが、高校1年の時の話です。
部活で河口湖のユースホステルに合宿しました。瀟洒な施設で温泉ではないが綺麗な浴場が数個あり、その時のお客の状況で男湯、女湯と張り紙をして使っているようでした。
さて、友人や先輩が先に風呂からあがり私一人でシャワーで髪を洗っていたときです。悪友がイタズラして張り紙を女湯に変えたのです。誰かが風呂に来たようで背後で女性の声したような気もしましたが、私は隣の風呂場からだろうと気にも留めませんでした。相手も私のことを気に留めない様子で、私が体を洗い終え湯船に浸かると、自分と同い年ぐらいの別の若い人たちが3人、湯船に入っており、交代で空いたシャワーを使い始めました。
男子1人(私)女子3人で混浴し前を隠さずシャワーを浴び、互いの裸身を目の前で見ていたはずですが、彼女らも私もその時は異性がいることすら全く気が付きませんでした。普通は風呂で知らない人の裸体はジロジロ見たりしないものです。混浴が嫌らしい、過度に恥ずかしいと思うのは、そういうことを意識し過ぎる為であって、普通のそぶりでいれば嫌らしい感じはないと思います。
さて、悲喜劇は脱衣場で起こりました。私が先に風呂から上がり女子3人のうちの一人も私に続いて脱衣場に来ました。互いに黙ってバスタオルで体を拭き、ふと顔を上げ向き合う感じになったとき、お互いに同時に、あっ、と思ったようです。まだ16歳の少年だった私はそのとき初めて女性の裸身を意識しましたし、今でも憶えているのは純情な少年に余程のことだったのだろう。
もしそのとき彼女が叫び声を上げていたら警察沙汰だったかも知れませんが、互いに無言でいそいそと服を着て風呂を後にしました。翌朝、食堂でその子をまた見かけましたが、お互い頬を赤くして下を向くだけでした。思春期まっ盛りの時のちょっと甘酸っぱい思い出でした。