レポート | 日帰り
高速を降りてから松代温泉方面に向かったのはいいが、見事に迷ってしまった。加賀井温泉を示す案内板が全く無い。温泉地とも思えぬ普通の町並みをぐるぐる走り回り、やっと見つけたのがなんだか普通の農家にしか見えない建物であった。田舎の住宅街に何の違和感もなく溶け込んでいる。
まだ本当にこれが一陽館か疑いながら、埃っぽい砂利道を進んで駐車場らしき空き地に車を止めた。駐車している車の台数が結構多い。平日にしては繁盛しているようだ。
【地元密着型温泉の洗礼】
売店のような所にいたおじさんに料金を払うと、源泉の湧き出している場所に連れていかれ、どういう温泉かというものを一通り説明を受けた。覗き込むと白く泡立ったお湯が蓋の隙間から見える。それにしてもわざわざ説明するなんて、よほどお湯に自信があるのか、ただ者で無さを感じた。詳細は独り言のコーナーで。
【露天風呂】
露天風呂用の更衣室はない。男女別の内湯で服を脱ぎ、タオル巻きで露天風呂まで歩くことになる。露天風呂専用の通路じゃなく、来たときの道に裸で出るものだから、なんとなく気恥ずかしい。明け透けな露天風呂は四角い湯船がふたつある。ふたつというか、四角い湯船を真ん中でふたつに仕切ってあるというべきか。湯船には溢れるくらいオレンジ色のお湯が満たされてある。
お湯に入ると、かなりぬるいお湯であった。内湯の建物に近い方はもう少し温かい。源泉はかなり炭酸を含んでいるらしいが、送湯管が圧力で破裂するために炭酸を抜いてから注いでいるそうだ。茶色いお湯は殆ど中が見えない。1センチ先も見えない程なので、中に入ってしまえば女性でも安心である。
亀の子タワシが置いてあり掃除用かと思えば、実はこれで背中をごしごし擦るのだそうだ。慣れない人がやったら、確実に背中の皮がずる剥けてしまいそうである。入っているおじいさん達の持っているタオルは皆真っ茶色だが、これは最初は白いタオルだったのだそうだ。通ううちに茶色くなり、どうやらこの茶色の具合がここに通う人達のステータスとなっているらしい。
話し好きのおじいさん達が出たり入ったりで、肝心の湯船の写真を撮ることができなかった。平日でもこれだけ賑わっている温泉もあまりない。地元に愛されているのがよくわかった。
風呂を出てから、女性はタオルを巻いて入ってもいいのだと聞かされた。新鮮なお湯をどんどん注いでいるから、気にしなくていいのだそうだ。しかし、身体を拭いただけのタオルも結構茶色くなったから、巻いて入るのならそのタオルは使い捨ての覚悟が必要である。