レポート | 日帰り
甲府の中心街からもさほど遠くない、石和温泉の北東に岩下温泉はあった。観光地とはほど遠い雰囲気の、生活道っぽい細い道を通ることになるので、紙の地図だけでは見つけ難いと思われる。本当にここに温泉があるの?と疑問に思う立地だが、その歴史は古く1700余年、縄文時代から続くという。
温泉といっても源泉温度は28度、冷泉であるが岩下温泉旅館では加水加熱しない源泉そのままを楽しむことができるようになっている。
岩下温泉旅館には新館と旧館があり、日帰り入浴が可能なのは旧館の方。現在宿泊は新館のみとなっており、旧館は日帰り専用施設として地元の公衆浴場のように使われているということだ。
【旧館の館内】
岩下温泉旅館の旧館には男女別の内湯と、源泉そのままの混浴浴室がある。入浴料を払う時に初めてだと伝えると、入浴の仕方を教えてくれる。男女別の内湯には加熱槽と源泉槽があるので、まず加熱槽で暖まってから源泉槽に浸かる。男女別浴室に源泉槽があるので特に混浴の源泉浴室は利用する必要はないが、利用するならタオル巻きは禁止とのこと。
混浴の浴室は面白い構造で、男女別内湯の廊下を挟んで向かい側にあり、扉はついていない。半地下状に廊下より低い場所に浴槽があるが、入浴に来た人が廊下を通る時に丸見えになってしまう。
脱衣所はないので、男女別内湯に入浴した後、裸で廊下を横切らなければならない。もちろんぶらぶらさせながらということではなくタオルを巻いてになるだろうが、廊下は玄関まで素通しなので、混んでいる時間帯なんかでは「こんちは〜」と玄関を開けたら奥でぶらぶらさせた爺様が横切っているとこだった、なんて光景を目の当たりにしそうな気がする。
【男女別浴室から源泉浴室へ】
まずは男女別の内湯に入り身体を暖める。男女を仕切る壁は天井まで届いておらず、はっきり言って背伸びをすれば向こうが見えてしまうのだが、お互いの声が届くというメリットにより混浴に移動するタイミングを合わせられて重宝した。
一度身体を拭いてそのまま混浴に移動。混浴の浴室は広く、その殆どを湯船が占めている。古い校舎にある教室の床一面が湯船みたいな感じで、なんとも言えない独特の雰囲気。28度のままの非加熱源泉だから、プールに入る時のような感じで最初に身体を沈める時はひょえ〜!と縮み上がる。暫く浸かれば慣れるが、イッキに飛び込むと心臓がびっくりするかもしれない。
浴室の独特の雰囲気といい、適度に古さを感じる年季の入り方といい、案外楽しめる。「鄙び」というのともちょっと違う、こういう古ぼけ方は結構好きだ。さほど期待もせずに立ち寄ったのだが、思わぬめっけもので得をした気分になった。
※源泉風呂に仕切りができ別浴に変更されました。宿泊者は源泉風呂貸切プランがあります。