レポート | 日帰り
よくある蒸気の力で吹き出す間欠泉というのは危険な熱湯なので近づくことも危ないが、山形県の広河原温泉は炭酸の力で吹き上がるため間欠泉でありながら源泉温度は低く、日本で唯一の湯槽の中に間欠泉がある温泉となっている。
明治から大正にかけて湯治場として賑わっていたそうだが、その後長らく野湯となって知る人ぞ知る秘湯だった。広河原温泉に宿泊施設の「湯の華」が開業したのは2005年の秋。
「湯ノ沢間欠泉 湯の華」へのアプローチは、未舗装路を延々と走らなければならず気持ち的にもかなり遠く感じる。さほど荒れてはいないので普通車でも問題はないが、多少の気疲れはあるかもしれない。本当に人里遠く離れ、まさに秘湯と呼ぶに相応しい。そんな難路だから当然のこと雪の積もる冬期は閉館となる。
【浴場設備と日帰り入浴料】
広河原温泉には男女別の内湯と混浴の露天風呂がある。源泉温度は35.1度なので、内湯露天ともに加熱されている。混浴露天風呂はタオル巻き入浴OKなので女性でも安心。
日帰り入浴料は一人600円。日帰り時間が始まる10時前には到着して10時きっちりに訪ねるとまだ湯を抜いて掃除中とのことで少し待った。なので写真の露天風呂はまだ湯が半分も溜まってない状態で浅いが、満杯になれば肩まで浸かれる深さになる。
【混浴露天風呂と間欠泉】
男女別の内湯は大きくないが湯槽にも成分がこってり付着し、なんだか効きそうな雰囲気を醸している。窓から混浴露天風呂の様子が窺えるので、女性は露天風呂に出るタイミングを計ることもできる。
内湯の浴室から出る扉を開けると、露天風呂の真ん中でしきりに吹き上がる間欠泉がそこに。間欠泉の温度は低いので、横から加熱された湯も湯槽に流し込まれている。それが混じり合い寒くなると長湯はできないかなという程度のぬるめの湯が溜まる仕組み。
ぶしゅぶしゅと吹き上がる間欠泉を前にすると不思議と童心に帰ってしまう。子供も面白がりそうだから、子連れファミリーでも満喫できる温泉と言えるかも。
広河原間欠泉は自分が野湯巡りにはまった当時に行きたい野湯の上位にあったのだが、ぐずぐずしているうちに宿泊施設の建設が始まってしまい興味が薄れてしまった。2005年の秋に開業して混浴が残されたと知った後でも優先順位を上げることなく2013年になってしまったが、いざ行ってみると面白くてなんで早く行かなかったのか損した気分だ。そしてロビーに貼ってある野湯だった頃の広河原温泉の写真を見て、その頃にも来てみたかったと行動の遅かった自分が悔やまれてならない。
※閉館したようです。