レポート | 日帰り
埼玉県の都幾川温泉は掘削により開発された温泉で、開湯は1990年と新しい。埼玉県にはアルカリ性の温泉が多いが、その中でも都幾川温泉はpH11.3という日本でトップクラスの強アルカリ性の泉質を持っている。その都幾川温泉にある一軒宿が旅館とき川。施設名に旅館と付いているが、現在宿泊はやっておらず日帰り料理プランだけの営業となる。
【料金】
旅館とき川の部屋は二室。湯殿も二箇所のみしかない。食事は部屋出しとなるため、昼食と夕食それぞれで一日最大四組までの利用が限度。湯殿はそれぞれの部屋に割り当てられた完全貸切制となっている。1予約の利用時間は食事込みで4時間。基本料金は一人9,800円だが、平成25年は9周年記念サービスということで一人7,800円の割引料金で利用できた。
【二部制で一日四組限定】
空いていれば当日の予約でも利用できるようだが、昼の部は人気があるらしく一週間以上先まで満室、そんな先の予定まで立てられないこちらの身としては夜の部しか選択肢は無かったので、二日前に夜の部を予約した。
夜の部は16時から始まる。通された部屋は、それぞれ六畳ほどの広さの二間続きの和室。浴衣も用意され、男性は二種類の中から、女性は豊富な種類から選べ、日帰りとはいえ浴衣でゆっくり寛ぐことができるので、貸切によくある45分時間制限のように慌ただしく追われなくていい。四時間の中で食事の時間は希望できるので、17時から食事ということにしてその前にひと風呂浴びることにする。
【湯殿】
湯殿は玄関を入ってすぐ、客室の手前に二箇所並んである。部屋に割り当てられた湯殿の扉を開くと、六畳近い広さの脱衣所。奥の「ゆずの湯」と書かれた看板横の扉を開けると浴室がある。
浴室はゆったりした広さの洗い場があり、その奥に石造りの湯槽。ふたり程度ならゆったり余裕のある大きさ。アルカリ性泉によくあるとろっとした感じはあまりないが、さらさらの湯ともまた違うまったり感のある湯が溢れている。展望風呂なんかと違って窓から見える景色もないし、素っ気ないタイル張りの洗い場など凝った雰囲気を作っているわけでもなく、本当にこの湯を楽しむだけの風呂である。それだけ自信があるのだろう。
ちょっと早めに到着した時、昼の部でかしましい女性達の声が玄関まで漏れていたので、天然の化粧水とも言える強アルカリ性の美肌の湯と言うだけあって、女子会みたいな女性グループに人気が高いようだ。源泉水は容器代1,000円にて4リットル無料(旅館利用者以外は1リットル100円)で手に入れることもできる。
【食事】
食事は柚子薬膳料理。おまかせのコースのみとなる。食前酒、前菜と始まり、最後のデザートまで数回に分けてタイミング良く出される食事は、おいしいが男性には若干物足りないかなという量なので、やはりこちらも女性に最適化されているようだ。
ゆっくり食事の後には再び風呂へ。もう充分だと思うまでゆっくり浸かって、部屋に戻ってひと息つくとちょうどお時間。食事に時間を取られるから四時間じゃ短くないかな、と危惧していたが、自分にとってはちょうどいい絶妙な時間だったということになる。女子会にはちょっと短いかもという気はするが…。
ところで、秋田美人、新潟美人とか良く聞くが、美人の湯であるアルカリ性泉が多いのに埼玉美人と聞かないのはいったいどうしたことなんだろうか、埼玉県民はあまり温泉には行かないのか、それとも控えめな県民性なのかな?