レポート | 日帰り
小岩井農場のある雫石盆地を膝元に抱える岩手山は、東北自動車道側から見れば富士山のような美しい要望を持った独立峰に見えるが、西側に赤倉山・黒倉山・犬倉山・大松倉山などいくつものピークを従えた連山である。
その連山のひとつ犬倉山中腹に湧き出す網張元湯は1200年前の発見だが、江戸時代には山の神信仰により網を張って入浴が禁止されていたという。これが網張温泉の名前の由来。
明治の頃に2キロ程下流に引き湯され湯治場となったのが、現在の網張温泉の位置。かつての湯治場は昭和40年に国民休暇村となり、現在に至る。仙女の湯はこの国民休暇村が管理する露天風呂。
休暇村岩手のホテル横から森に踏み入り歩くこと約7分、深い緑の木々に囲まれひっそりと仙女の湯はある。以前は自然に近い岩を並べた湯舟だったが、2005年の改修により石をコンクリで固めた湯舟に変わっている。また、複数あった湯舟もひとつだけとなり、女性専用の湯舟もなくなった。入浴料も清掃協力金100円だったものが300円に変わった。入浴料は宿の横、ゲートにある木箱に入れるようになっている。
【仙女の湯へは徒歩】
ゲートの手前、目立つ場所にある看板には入浴時間午前9時からと書いてあるが、ゲートにある看板には午前8時からとなっている。なので一番湯を狙って8時に行ってみた。仙女の湯までの森の中の道のりは、登山道に近い状態で雨の日などは滑りやすく、足元がサンダルなどでは危ないかもしれない。
【脱衣所】
脱衣所は小屋の中で男女に分かれている。ゆゆ着のレンタルもあるので、女性専用湯舟がなくなっても女性が入りにくいようなことはないだろう。湯舟は簾でふたつに仕切られているが、目隠しにはなっていない程度のもの。しかし、混んでいる時には男女がきっちり分かれてしまいそう。
【森の中の露天風呂】
一番湯は、ものすごく熱かった。足を浸けただけでじんじん痺れてくる。暫く湯にも入れずうだうだしていると、管理の人が湯の温度を計りに来た。聞いてみると45度。湯舟にはパイプから水が流れ込むようになっていて、最初から水は出ていたのだが、それでもこの温度。雨も降っていたし、2キロも引き湯しているとは思えない。管理の人が水の流量を増やしてくれたので、暫くしてやっと快適に入れるようになった。
湯に浸かりやっと落ち着いて顔を上げてみれば、深緑に濡れた木々は靄にかすみ、流れる滝はさらさらと自然の交響曲を奏でる。野趣に溢れたなかなかの露天風呂であった。