レポート | 日帰り
湯の泉温泉は、ダム工事により無くなると懸念されていた野湯。平成11年暮れにダムが完成し、もう無くなってしまったと思っていたのだが、まだ残っているという情報をネットで見かけ、行って確かめてみることにした。
ダムに到着したのは日が暮れ始め薄暗くなってからだった。暗くなる前に見つけようと焦ってしまい、迷いながらかなり歩いたが、ようやく林道の入り口を見つけることができた。しかし、ゲートはしっかり閉じられ、看板には一般車および一般人の通行も禁止と書かれている。ショック…。
だけど、ここまで来てどうしても諦めきれないため、ゲートを跨いで入ってしまった。
林道を5分位進むと、林道脇に湯の泉をすぐに発見できた。透明な湯をたたえ、とても野湯とは思えない小奇麗さで、川のすぐ横に石組みの湯船がある。
湯船の横にロープがかけられており、そこにタオルが掛かっていた。頻繁に人が来ているような印象。ダム関係者が利用しているのだろうか。石組みの湯船は清潔で苔も生えてなく、手入れが行き届いている。大事にされている様子だ。
透明なお湯は適温で、パイプからは耐えることなく湯が注がれる。湯量は豊富そう。川のせせらぎを聞きながら、暮れ行く景色を眺めつつ温泉に浸かる。何物にも変えがたい幸せを感じつつ、思わずまた来ようと心に誓っていた。
2001年情報
かなりメジャー化している模様。
浴槽の下に、こぼれ湯をビニールシートでためてる新浴槽が出現。(情報提供ふぁびらすさん。ありがとうございます。)
※2004年12月、湯を止められ閉鎖されました。
※野湯はそもそも入浴が許されている場所ではなく、単に目を瞑ってもらっているに過ぎません。管理されている訳ではないので細菌などの衛生面でも問題があります。大勢がおしかけるようになり大量のゴミを残したり勝手に湯船の増設を始めたりしたら、さすがに地元でも見過ごしておけなくなるのは当然の成り行きなんだろうなとは思います。国立公園・国定公園内では許可なく工作物を残すことが禁止されていることはもちろん、指定場所以外でのキャンプも禁止です。野湯があるのは国有地か私有地な訳でして、そこに自由に行く権利が保障されているものでもありません。プチ野湯ブームみたいなことが起きている最近では特に、問題が顕在化しないようひとりひとりが注意して行動しないと、次々と湯の泉みたいな末路を辿ることになるのでしょうね。
※2007年、閉鎖されているにもかかわらず配管を壊したりと温泉ファンの目に余る所業により、完全に解体されることが決定されました。