レポート | 日帰り
平湯温泉は、新穂高温泉郷・福地温泉などと共に、中部山岳国立公園内にある。奥飛騨山荘のりくら一休は平湯温泉の中心から少し奥まった場所にあるのだが、混浴露天風呂だけ旅館から離れ、平湯の中心を貫く国道158号沿いに独立している。
館内には貸切露天風呂もあるが、日帰りで利用できるのは混浴の露天風呂だけ。それも同経営の田舎茶屋一休庵での食事が前提となる。食事をすれば入浴料は不要。
一休庵は平湯バスターミナルのある通り沿い、平湯温泉の中心部にあるので迷うことはないだろう。駐車場はないので、バスターミナルに併設されている公共無料駐車場に車を停めて徒歩移動する方が楽。
まだ安房トンネルができる前、高山方面からも松本方面からも新穂高に向かうには必ず平湯温泉を経由しなければならなかった。安房トンネル完成後は平湯温泉を迂回するバイパスができたので、暫く平湯温泉には縁がなく、今回の訪問は十年ぶりくらい。安房トンネル周辺や新穂高の辺りはかなり様相が変わったが、バスターミナルを中心としてこの平湯温泉街は昔と殆ど変化がない。とても懐かしく、すごく嬉しくなった。
【まず一休庵で食事】
さて、ちょうど昼食の時間に合わせて一休庵を訪問、奥飛騨に来たのだから注文はもちろん朴葉焼定食。注文の時に入浴したい旨を伝えると、なぜか店員に戸惑いのようなちょっと困った表情。
「屋根ないですが…」 その日はかなりの降雪で、確かに屋根があった方がいいかもしれないが、こっちは豪雨だろうと豪雪だろうとどんな状況でも入浴を諦めるなんてことある筈がない。
「誰も入らないと思いますが…」 いや、誰も入ってない方がこっちはありがたいし。
「オススメできませんけど…」 まあ、とりあえずは入浴してみるのがこちらの信条。ちょっと強引気味だったが、特に入浴禁止なわけでもないようなので、場所を説明してもらった。
【混浴露天風呂へ】
混浴露天風呂は一休庵からも少し離れた場所にある。駐車場がないので、こちらも歩いて行動した方がいいだろう。国道158号を安房峠方面へ数分歩くと、国道から数メートル奥まった小高い場所に脱衣小屋があった。
しかし、国道からのその数メートルが除雪してなく、踏み跡も全くなかった。なるほど、これがオススメしない理由か。かといってこちとら雪国の生まれ、そんな事くらいでめげやしない。ひざ上まで埋まる雪をキックステップとラッセルで華麗にクリアする。
脱衣小屋内部は棚があるだけのシンプルそのもの。男女は共用になる。湯舟方向には簡素な木の扉があるが、密閉されるわけではなく吹きさらしに近い。真冬に服を脱ぐのはちょっと気合いが必要。
湯舟は大きな岩に囲まれた、少し小さめのもの。脱衣所から湯舟までは2〜3メートルの距離がある。その区間も当然のこと雪が積もっており、裸足で歩くのはかなり辛い。
ひ〜!と声を上げながら湯舟まで走り、いざ入ろうとしたら、ここで初めて店員がオススメしない本当の理由に気づかされた。ぬるいっ!水ってほどではないものの、かなり水に近い温度だ。ひ〜!と声を上げながら脱衣所まで駆け戻る。
どうやら、真冬には無理メの温泉であった。
※この混浴風呂は廃止されてしまった模様です。