レポート | 日帰り
大阪屋と同じ道路の並びにある平沢屋旅館、よほどの理由でもなければハシゴしない訳がない。ということで、大阪屋の次は平沢屋旅館にお邪魔することにした。
平沢屋旅館には男女それぞれの内湯と、混浴の露天風呂がひとつ。露天風呂は内湯から少し離れた場所で独立している。
露天の脱衣所は男女共用。細長い長方形のスペースのうえ、脱衣棚が長辺の壁面に据えられており、さらに幅狭くしている。女性は更衣中に後ろを間近に通られるのは嫌だろうから、最奥で着替えるのがよさそう。
【脱衣所での出来事】
自分らが行った時、その最奥でおじいさんがひとり、ちょうど服を着ている最中だった。その時唐突に湯舟側に通じる扉がガラッと勢いよく開き、おじいさんがひとり湯から上がってきた。「ここの露天風呂はでかくていいなぁ」と大声で言いながら、ハンドタオル一枚でそのまま脱衣所入口から館内の方へ出て行ってしまう。唖然としてしまった。内湯から裸のままこちらにやって来たのか? 内湯の脱衣所まではそこそこ距離があるんだが。
呆気にとられてぼおっとしていると、服を着ている最中だったおじいさん、着終わったようで、脱衣所奥の窓をがらりと開けた。腰から上ぐらいの高さにあるごく普通の窓だ。おじいさんはその窓をもそもそ跨ぐと、窓を超えて向こう側に降りそのまま消えた。????。その窓から顔を出してみると、窓の向こうは普通に外だ。中庭とかではなく、道もある。もちろんその窓はどう見ても出入り口には見えない。いったいなんだったのか、謎である。
おじいさんが二人出て行った後は、他にもう誰もいなくなった。しばらく茫然としていたが、深く考えるのはやめて、とりあえず風呂に入ることにしよう。
【混浴露天風呂】
露天風呂の湯舟はそこそこ大きめで、石タイルの綺麗な長方形をしている。屋根がかかっており、その為に露天風呂らしい開放感はいまひとつとなるが、雨の時でも濡れずに済む。脱衣所側の壁面になにやら和風の絵がかかっており、それが独特の雰囲気を醸し出していた。
薄く白みがかった透明の湯は少々熱めだが、入れないほどではなかった。大阪屋より広い湯舟が幸いしているのか。
女性にとっては、幅の狭い脱衣所が一番のネックとなりそうだ。内湯からタオル巻きで来るにしても、距離はさほどではないとはいえ普通に館内を通らなければならないから、ちょっと恥ずかしい。あのおじいさんの真似は難しそうだ。混雑時は避けた方が無難だろう。
ちなみに、中の沢温泉の源泉である沼尻元湯の入浴剤というか天然湯の花が売られているので、自宅で手軽にこの湯を楽しむこともできる。