レポート | 日帰り
芦ノ牧温泉は草津などのように、いかにもな感じの温泉街である。団体メインの温泉街の中で、ホテル渓山は比較的こじんまりとしている。こういう温泉街で混浴露天風呂をもっている旅館は珍しい。
「こんちわー!」ひっそりと人気のない玄関で声をかけると、もそもそと奥から人の良さそうなおじさんが現れた。この日は急な予定変更でここに来たので、事前に電話確認をしていなかった。露天風呂に入れるか訪ねると入れると言う。ホッとした。平日の活気のなさにはもう慣れたが、たまに呼んでも呼んでも出てこない旅館もあるので困りものだ。
露天風呂は旅館をいったん出て、雪の積もる小道を歩いて行く。除雪はされているが、緩い傾斜があるので滑りそうで怖い。脱衣所は男女の別はなく、ひとつの小屋になっていた。暖房などないので、服を脱ぐのは少しためらわれる。そういえば、露天風呂に入りたいと言ったとき、旅館のおじさんは物好きを見るような目であった。と同時にすごく嬉しそうでもあったのだが。
お湯は無色透明、癖がない。ぬるすぎたら嫌だなあと思いながら入ったが、ちょうどよい温度であった。こじんまりとした湯船だが、狭いというほどでもない。そこそこの広さはある。雪景色を見ながら肩まで浸かった。三方を囲まれているため、景色はあまり開けない。まあ、こういった温泉街ではまだましな方だ。遥か下の方には、渓流が流れている。目を瞑ると、雪のせいかお湯の流れる音しか聞こえない。静寂なひとときであった。
30分程であがって受付のおじさんに挨拶すると、早いね〜!と驚かれてしまった。いやね、気に入らなかった訳じゃないんですよ。のぼせやすいんで、よっぽどぬるめのお湯でないと、そう長くは浸かってられないもんでね。いや、よく暖まりました。芯からポカポカです。
※貸切に変更されました。