宮城県白石市の鎌先温泉では、長い間、混浴の習慣を残していました。最近旅行者が増え、男女別浴になってきたのが残念です。
私が以前、この鎌先温泉木村屋旅館に投宿したころは自炊部が充実し、お風呂も混浴の「天狗岩風呂」がただ一つでした。ですから男女みんながこの混浴に入ることになります。
この「天狗岩風呂」は東北地方の昔からのスタイルで、男女別の脱衣場で浴室が混浴というタイプです。私もこの混浴に入りましたが、みんな混浴は当たり前という感覚で入浴していました。女性の人も多く入浴していました。傷に効くということで、自炊部に泊まり込み、一日に何回もこのお風呂に入るのです。
ちょうど20代の女性といっしょになりました。背中の腰部に手術跡があり、傷の治療の湯治だと思いました。彼女は入浴するときは周りを気にせず、いつも裸のまま動きまわっていました。さすがに前屈姿勢でタオルなどを絞っているときは、後ろから女性のあの部分が見えるのでドキッとしました。でも、そんな事も気にしないで自然に振る舞えるのだから、ここの温泉はおおらかな雰囲気の湯治場だと感じました。
他にも、この浴室でたくさんの女性といっしょに入浴しましたが、ほとんどの人は何も隠さないままですので、これがこの温泉らしさだと思いました。
今は、鉄筋のりっぱな旅館になってしまい、最上階に大きな男女別浴室ができたので、この「混浴天狗岩風呂」に入る女性も減ったようで残念です。