一人でフラっと温泉に行くことが好きで思い立つとよく出かける。一人なのでいわゆる有名な宿は敬遠されやすく、こじんまりとした宿が多くなる。10年ほど前のころだったろうか、(差障りがあるかもしれないので)関東のとある温泉宿に泊まった時の話。
宿の近くを散策したり、温泉に入ったりで夕食の時間になった。
「夕食をお持ちしました」
と仲居さんがやってきた。部屋に案内してくれた時の仲居さんではなく、しかも着物を着ておらず仲居さんという風情とはかけ離れた若い女性だった。訊くと、この宿のお嬢さんで東京の大学生で、春休みで帰って来ているという。
「一人では寂しいでしょ?」
とお酌をしたり、話し相手をしてくれたりして、しばし楽しい時間を過ごした。
「温泉には入りました?」
という話になり
「ええ、また寝る前にもう一度入ろうかな」
特に深い意味はなく
「ここって混浴ですよね?」
と続けると、返って来た言葉に一瞬耳を疑った。
「私でよければご一緒しましょうか?」
「えーっ?本当ですか?」
従業員が客用風呂に入ることはあまりないらしく
「ひさしぶりに入りたいし・・・」。
「では後ほど・・・ごゆっくりお食事楽しんでください」
と彼女は部屋を後にした。どうせ社交辞令だろう、思いつつも顔がにやけてしまう。
食事を下げに来たのが年配の仲居さんだったので、やっぱり社交辞令か・・・とも思いながら待っていた。
11時を回ってしまい、「やっぱりね」と一人で入りにいくかと思いかけた頃「遅くなりました」とお嬢さんの声。やったーという気持ちを押させ浴場へ向う。心臓がドキドキしながら何を話せばよいのか困り黙ったまま。
脱衣場は別なので「後ほど」なんてバカなことを言って別れる。男のスケベ心からか、大急ぎで脱いで浴場へ。
ほどなくして戸が開き彼女が入って来た。一瞬見やるが、すぐ視線をはずす。かぶり湯を済ませ近づいてくる気配。まったく無視するのも違うかな?と思い彼女の方を見る。ちょうど湯船に入ろうかというところで、乳房も茂みも見てとれた。当然のことにすぐ隣に肩を並べるように湯につかる彼女。
やはり気まずさもあり沈黙がちで「気持ちいいですね」なんて会話しか出てこない。体を洗おうかと思い切って立ち上がると「お背中流します」と言ってくれた。断るのも野暮なのでお願いすることに。背中を流し終えたところで、バカは承知で「今度は僕が・・・」と言ってみた。やっぱり「い・・いいえ」と彼女は言いかけたが「お願いします」と風呂椅子に腰掛けた。
この頃にはお互い緊張もかなり解け、また普通に会話が進んでいた。右手に持ったタオルで背中を流しながら体に添えた左手が最初は偶然乳房に触れてしまった。最初は本当に偶然だったが、偶然をよそおい時々軽く触れていたら「さっきから胸触ってません?」と彼女。「判りました?」と答えると「もうーっ」と笑い出した。それをきっかけに弾けた。「じゃあ今度は前ね」と言うと、「ハイハイ」と言いながら、ためらわず僕の方を向いた。
それからはエッチだけど明るく楽しくお互いの洗いっこをしばらく楽しみました。こんな夢のような体験はもう二度とないでしょう。