レポート | 日帰り
月山は湯殿山、羽黒山と共に出羽三山のひとつで、信仰の山。山頂には神社の本殿があり、天照大神の弟神である月讀命が祭られている。標高2000mに満たない山でありながら雪が深く、標高2500mを越える乗鞍の大雪渓と同じように夏スキーができるほど。豪雪のため月山スキー場は冬期閉鎖で春から営業を開始する。これほどの雪が豊富な良い水を供給しあの旨い庄内米を育てるわけだ。ちなみにコシヒカリやササニシキは庄内米「亀の尾」の子孫なのだそうだ。
月山の麓は古くから出羽三山詣での宿坊が並び参拝者で賑わっていたが、月山志津温泉は平成になって開発された新しい温泉。もともとの宿場町に温泉という付加価値を追加した形だ。「変若水の湯つたや」は9軒ある旅館のうちのひとつ。変若水と書いて「おちみず」と読むそうだ。男女別の大浴場・露天風呂の他に、二箇所の貸切風呂があって日帰りでも利用できる。料金は人数によらずコミコミ1時間3,000円。
「変若水の湯つたや」の貸切風呂は、窓を大きく開けると露天風呂のようになる半露天の「ばしょうの湯」と、丸い湯槽が特長の内湯「ぶなの湯」のふたつ。ばしょうの湯からは姥ヶ岳と月山も見えるとオススメそうだったので、そちらに入浴することにした。なぜ「ばしょう」なのかというと、松尾芭蕉が三山参りでそれぞれの山で句を読んでいるので、それが由来だろう。
脱衣所と浴室は新しげで清潔。決して大きくはないが、壁の一面が全面窓となっており、さらにそれを全て開ききることができるので、窓を開けてしまえばほぼ露天風呂と言って差し支えないと思う。
窓は五色沼および月山方面に向いており、景色は悪くない。正面に姥ヶ岳、そこから右に向かってなだらかに尾根が延び月山に続く筈だが、残念ながら林に隠れて月山山頂は望めないようだ。左に見えているのは地図で見ると方角的に湯殿山だと思うのだが、湯殿山が見えるとは言ってなかったからどうなのかな? と、つい風呂より山に興味が向いてしまう。山好きにとってはなかなか良い風呂かもしれない。