レポート | 日帰り
日本百名山のひとつ雨飾山の北側登山口にあるのが雨飾温泉。地図によっては梶山新湯としか記載されてない場合もあるが、どちらも同じ温泉のこと。雨飾温泉には雨飾山荘が一軒だけ建つ。
平成11年までは道路が通ってなく、1時間半かけて歩いて行くしかなかった。現在では雨飾温泉まで道路が通じて旅行気分で行けるようになったとはいえ、車一台がやっとの道幅で一部未舗装区間も残る険しめの道路であるから、山道慣れしていないなら無理はできない。
雨飾山荘は道路ができた現在でも山小屋として営業しており、秘湯を守る会の会員宿ではあるが完全に山小屋ルールなので、宿泊する時は念頭に置いておく必要がある。
【山荘】
道路が通じたおかげなのか、雨飾山荘は実に立派な建物だった。白馬辺りの超メジャー山域の山小屋にも引けを取らなそう。しかも露天風呂の他に男女別の内風呂まで備えている。なんとシャンプー石鹸が使えるという贅沢さだ。
宿泊する場合には消灯時間の早さや山小屋特有の不便さを少しだけ我慢する必要はあるが、設備的には旅館と言って差し支えない。トイレも綺麗で、日帰り入浴者でも無料で利用できる。
【混浴露天風呂】
都忘れの湯と名付けられた露天風呂は、山荘の正面にあった。正面広場の隅にある緑の離れ孤島がそれだ。引き戸付きの門から中に入るとがらりと雰囲気が代わり、深い森林の中にいるかのような露天風呂がある。入ってすぐの所に脱衣所がありそのすぐ横が露天風呂の湯船となる。脱衣所といっても籠の置かれたベンチのような台があるだけだ。女性はちょっと着替え難いかも。
湯船はあまり大きくない。石とコンクリートで作られた湯船には、青みがかった薄茶色の湯が満たされている。周りを緑に囲まれたこぢんまりとした空間で、開放感はあまり感じられないが落ちついた空間である。特筆すべき特徴はないものの、静かで心安らぐ雰囲気にはついつい時間を忘れてしまいそう。
自動車でアクセスが可能になったために苦労の末辿り着く醍醐味は無くなってしまったが、登山後にこの湯に浸かったとしたら本当に都に帰る事を忘れたくなることだろう。ここはひとつ宿泊して山の夜を楽しむってのも魅力的なプランだ。